プール付きの家と聞いてみなさんはどんな住まいを思い浮かべますか?広い庭を確保できるほどの敷地を持つ超豪邸をイメージされる方も少なくないのでは?今回ご紹介するのはそんなイメージを覆すような、住宅街に佇むモダンなプール付きの住まいです。*S T U D I O L O O Pによって手掛けられたこちらの住まいには、その閉鎖的でミニマルな外観からは想像できないような開放的な内部空間が広がっています。では早速見て行くことにしましょう。
写真 中村絵
クライアントの要望であったプールのある「日常から切り離された住まい」。それを体現するように居住空間が集められた2階部分は地上から切り離され、まるで空中に浮遊するかのように構成されました。浮遊感をより強調するため四隅には柱も壁も配されず、そこにもう一つの要望であった4台分の駐車スペースが確保されています。外観はプライバシー確保の面から必要最低限の開口のみが設けられ、ミニマルでクールモダンな佇まいとなっています。
エントランス横にはデッキが立体的に構成されており、公園のような雰囲気で屋外空間も楽しめます。また南国植物が配されることでモノトーンの外観に色が加わり親しみやすい印象を与えています。
1階にはエントランスと階段のみが配置されています。ガラスドアや内外で統一された床材が、空間の広がりとつながりを生み出し、開放的で明るい玄関となっています。
階段を上がると広がるのは、まさに日常から切り離された空間。まず目に飛び込んでくるのはその美しい青が印象的な水面です。そして内部に広がる白で統一されたスタイリッシュなインテリアは生活感を感じさせません。リゾートホテルに居るような非日常性が演出されています。
内装同様ソファやダイニングセットなどの家具も白でまとめられていますが、リビングに採用されたタイル状の内壁が空間にアクセントを加えています。
夏には泳げて、冬には水盤となるプールがクライアントの要望でした。この水盤および中庭空間を囲むように居室が配されています。中庭に面した開口はガラスで構成されていますが、内部に居る人の目線が水面に行くようガラス窓の高さは極力抑えるよう計画されています。
浴室も中庭に面した開放的な空間となっています。床レベルに埋め込まれた浴槽に身を沈めれば、水面がプールの水面までつながっていくようでより一層開放感を感じられることでしょう。
ライトアップされたプールの夜景もロマンチックで印象的です。水面がある空間の醍醐味は何といってもその水の揺らぎ、またそこに映り込む景色や反射する光が空間にさまざまな表情を与えてくれることでしょう。室内空間を白でまとめることでその効果をより一層感じることができます。